ボレボレ日記

マレーシアでの日常生活を気ままに綴ってます

産褥アマさんと私の28日間(9日目)

「絶対コレやっちゃダメだと思う…」

産褥ケアのパッケージの中で、未だ施されていないものが一つあった。

帝王切開だった為、ドクターから産後2週間は控えるようにと言われていた。

それが産後のコルセットだった。

日本では骨盤ベルトが主流で、妊娠中から着用する場合も多いと聞く。

私は妊娠中も骨盤ベルトを着用しなかったたので、産後もベルト無しで通していた。実際に着用した場合としない場合でどの程度差がでるのか、同時に比較することは出来ないので分からないが「骨盤は簡単に開いたり閉じたりするものではない」という見解を信じている。なので骨盤ベルトに頼るよりも、自分自身の筋肉や回復力を信じることにした。

ということで、今回は産後コルセットについてだ。

帝王切開はお腹に傷がある為、傷を刺激しないように一定期間コルセットは禁止されている。ドクターから言い渡された禁止期間を超えたので、いよいよコルセットの着用を始めてみようということになった。

そしてアマさんが持参してきたコルセットを見て驚いた!

幅が約60㎝長さは2mはあろうかという厚手のキャンバス地で、靴ひもの様に紐を編み込んで締め上げていく仕様になっている。聞けば本来は、そのコルセットを丸一日着用した状態で数か月過ごすのだと言う…。

とんでもないことだ!

なぜならそのコルセット、自分一人では着けられないのだ。

一度着用すると容易にトイレも行かれない。

アマさん曰く、本来の伝統的な着用方法を守ると、尿意を感じないほどきつく締め上げるらしい。聞いただけでも恐ろしい…。ただ百聞は一見にしかず、せっかく伝統的なマレーの産褥ケアを経験出来る機会なのだから試してみることにした。

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結論から言うと「とんでもなく受け入れがたい物だった

まず胸下から膝上15cm辺りまでが完全にコルセットで固定される。見た感じはボディコンのタイトスカートを履いたような感じだ。ただし生地に一切のストレッチ性がないので、自由に歩くこともままならない上、椅子に腰掛けることも出来ない。実際このコルセットを着用した場合は、寝たきり状態で過ごすことになるらしい。

今の時代に、本当にこんなものを着用して産褥期を過ごすご婦人がいるのか!?

疑問に思って訊いたたところ、大抵は夜間のみ着用という人が殆どらしい。それでも着用しているというのを聞いて驚いた。試しに一日だけ着けて過ごしてみようと思ってたのだが、ものの1時間も我慢出来ずに外してしまった。アマさんの配慮で、通常よりも緩めに締めてもらっていたのだが耐えかねた。

着用した感じは確かに「全体的に締め付けられてホールドされている感覚」を感じるが、明らかに血流が阻害されている。聞けばアマさんは第一子を出産後、実母の教えに従い3ヶ月間もこのコルセットを着用し続けていたのだという。当然身動きは自由に取れず食事も常にベッドの上、ようやくコルセットを外すことが出来た3ヶ月後には、自力で歩くこともままならないほどに筋力が衰えてしまっていたらしい。その後第2子出産の際には、殆どコルセットを着用しなかったと言うから、産褥アマの立場からもコルセットはおススメ出来ないということらしい。

産褥期を安静に過ごさせる為には有効な手段だったかもしれないが、現代に生きる私にとっては拷問具の類でしかないコルセットだった。