ボレボレ日記

マレーシアでの日常生活を気ままに綴ってます

産褥アマさんと私の28日間(11日目)

「苦悶の一夜」

この日は終日我が子のご機嫌が良くなかった。

いつもはスムーズな日中の寝かしつけも、ガッツリ時間を取られてしまった。

とはいえ、寝かしつけも全てアマさんが対応するので、私は自分の時間を自由に過ごすことが出来る。

私はボディマッサージを受けるために、アマさんの寝かしつけが終わるのを待っていた。しかしこの日は、いくら待っても寝付いてくれない。仕方なく、この日はマッサージを諦めることにした。

この日は外出の予定もなく、一日中エアコンの効いた部屋の中で過ごして身体が冷えてしまっていたようだ。いつもならマッサージで血行が良くなるところ、それもなかった。

恐らくこうした複数の要因が重なって、乳房に異常な張りを持った状態を発症してしまった。素人診断ながら「乳腺炎」というものの初期症状ではなかったかと思う。

乳房はパンパンに張れて硬さと熱をもっており、搾乳量も著しく少ない。慌てて乳房マッサージを試みるも即効性はない。血流を良くする為に足湯も試した。

残念ながらどれも即効性のあるものはなく、症状は変わらないまま身体全体が熱っぽく頭もボウっとする。胸の張りはMAXに近く衣類が触れるだけでも痛み、横になれば胸自身の重さに押されてまた痛むという状態。

夜中には胸の痛みと発汗、悪寒という発熱症状も加わって何度も起きてしまった。

ただでさえ夜中の授乳対応で寝不足な上に、このような症状が加わると成す術がない。

軽い冷え・血行不良と思っていたものが、これほどの症状に繋がるとは想像も出来なかった。しかし後悔しても始まらない、症状を改善するために出来る限りのことを試してみるしかない。

この「乳腺炎」騒ぎがどうなったかは、翌日12日目につづく。

産褥アマさんと私の28日間(10日目)

「底知れぬ食欲の波がやってきた!」

私が契約した産褥アマさんは日中のみ対応で、夜間の対応は契約外。ただし個人的に夜間の対応をお願いしたい場合は、会社契約を介さずに直交渉で受けてくれるとのこと(料金は直接アマさんに渡すことになる)

私は当初の契約通り朝7時から夜20時までの時間対応をお願いしていたので、夜間の授乳対応については自分達で回す必要があった。我が子の場合は一日の授乳回数が10回以上を超えることも多く、夜間も3回は授乳が必須。おおよそ日付がかわる0時前後と、2時~3時の丑三つ時、そして4時~6時の夜明け前の三つの時間帯に授乳する。中でも2番目の丑三つ時の時間帯がダントツにキツい。

睡眠欲がピークに来ていることに加えて、食欲もピークに来ているらしく、この二つが合わさってことのほか辛く感じる。この二つの欲求には、どうにも抗うことが出来ない。ウトウトと舟を漕ぎながら授乳するしかないので、睡眠欲は基本的に放置する。一方の食欲に関しては睡眠欲と違ってそのまま放置するということが出来ない(少なくとも私は)。夫は食欲より睡眠欲が勝るタイプで、食欲を無視してそのまま眠れるタイプだが、私は睡眠欲よりも食欲が勝るタイプらしい。

一度食欲が覚醒すると、放置したままでは眠りも阻害されてしまう。

ということを言い訳に…、夜の最も深い時間におやつを食べるという癖が出来てしまった。今は完全母乳なので、お腹が減りやすいというのも原因の一つと信じている。

深夜におやつを食べる罪悪感に苛まれつつ、自分ではコントロール不能な食欲を前に、そんな言い訳めいたことを考えている。

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最近のお気に入りおやつ、冷蔵庫で冷やして食べる

 

産褥アマさんと私の28日間(9日目)

「絶対コレやっちゃダメだと思う…」

産褥ケアのパッケージの中で、未だ施されていないものが一つあった。

帝王切開だった為、ドクターから産後2週間は控えるようにと言われていた。

それが産後のコルセットだった。

日本では骨盤ベルトが主流で、妊娠中から着用する場合も多いと聞く。

私は妊娠中も骨盤ベルトを着用しなかったたので、産後もベルト無しで通していた。実際に着用した場合としない場合でどの程度差がでるのか、同時に比較することは出来ないので分からないが「骨盤は簡単に開いたり閉じたりするものではない」という見解を信じている。なので骨盤ベルトに頼るよりも、自分自身の筋肉や回復力を信じることにした。

ということで、今回は産後コルセットについてだ。

帝王切開はお腹に傷がある為、傷を刺激しないように一定期間コルセットは禁止されている。ドクターから言い渡された禁止期間を超えたので、いよいよコルセットの着用を始めてみようということになった。

そしてアマさんが持参してきたコルセットを見て驚いた!

幅が約60㎝長さは2mはあろうかという厚手のキャンバス地で、靴ひもの様に紐を編み込んで締め上げていく仕様になっている。聞けば本来は、そのコルセットを丸一日着用した状態で数か月過ごすのだと言う…。

とんでもないことだ!

なぜならそのコルセット、自分一人では着けられないのだ。

一度着用すると容易にトイレも行かれない。

アマさん曰く、本来の伝統的な着用方法を守ると、尿意を感じないほどきつく締め上げるらしい。聞いただけでも恐ろしい…。ただ百聞は一見にしかず、せっかく伝統的なマレーの産褥ケアを経験出来る機会なのだから試してみることにした。

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結論から言うと「とんでもなく受け入れがたい物だった

まず胸下から膝上15cm辺りまでが完全にコルセットで固定される。見た感じはボディコンのタイトスカートを履いたような感じだ。ただし生地に一切のストレッチ性がないので、自由に歩くこともままならない上、椅子に腰掛けることも出来ない。実際このコルセットを着用した場合は、寝たきり状態で過ごすことになるらしい。

今の時代に、本当にこんなものを着用して産褥期を過ごすご婦人がいるのか!?

疑問に思って訊いたたところ、大抵は夜間のみ着用という人が殆どらしい。それでも着用しているというのを聞いて驚いた。試しに一日だけ着けて過ごしてみようと思ってたのだが、ものの1時間も我慢出来ずに外してしまった。アマさんの配慮で、通常よりも緩めに締めてもらっていたのだが耐えかねた。

着用した感じは確かに「全体的に締め付けられてホールドされている感覚」を感じるが、明らかに血流が阻害されている。聞けばアマさんは第一子を出産後、実母の教えに従い3ヶ月間もこのコルセットを着用し続けていたのだという。当然身動きは自由に取れず食事も常にベッドの上、ようやくコルセットを外すことが出来た3ヶ月後には、自力で歩くこともままならないほどに筋力が衰えてしまっていたらしい。その後第2子出産の際には、殆どコルセットを着用しなかったと言うから、産褥アマの立場からもコルセットはおススメ出来ないということらしい。

産褥期を安静に過ごさせる為には有効な手段だったかもしれないが、現代に生きる私にとっては拷問具の類でしかないコルセットだった。

産褥アマさんと私の28日間(8日目)

「怪しい香りに燻されて」

先日、サウナの後に実施すると聞いていた施術があったのだけれど、サウナ後の私の様子があまりに苦痛そうだったからか、知らない間にスキップされていたようだ。

改めて詳細を聞いてみると、どうやらそれは「よもぎ蒸し」に近いものらしい。

ただし実際にはよもぎを使うわけではなく、マレー古来の様々なハーブを調合したものを使うらしい。アマさん曰く、ハーブシャワーよりも香りが強烈で好みが分かれるとのこと。ハーブの類はハーブシャワーの時に経験済み、少々特殊な香りでも受け入れられると踏んだ。

 

準備が整ったところで実践。

よもぎ蒸しと違うのは、使用するハーブの違いだけではなく、その施術方法も一風変わっていた。ホットコンプレスの際に使用した河原石をアツアツに熱し、粉末にしたハーブを水で溶いた液体を石に掛けて蒸気を立たせる。石に熱せられたハーブ水が蒸気となって立ち昇り、濃縮されたハーブのエキスが身体を包む。よもぎ蒸しと同様に下半身の温めに効果があるという。

下着も取った状態で長い腰巻き布を纏い、熱せられた石の入ったボウルを跨いで立つ。熱した石から既に熱が伝わってくる。そこにアマさんがハーブを溶いた水を注ぎ入れた。凄まじい勢いで水蒸気となって立ち上るハーブの濃縮エキス。温度のコントロールが出来ないのでひたすらに熱い…。腰巻を少し浮かせて蒸気を逃すと温度コントロールが出来ると教えられたが、加減が分からず蒸気を殆ど逃がしてしまった…。

 

そして一気に立ち昇る強烈なまでのハーブ臭!

 

ジンジャー系の刺激のあるハーブが含まれていたようで、盛大にムセてしまった。

確かにこれは好みの分かれる種類の香りかもしれない。「次回も要望があればやりましょう」と言われているけれど、正直なところ次回のリクエストはないかもしれない。

産褥アマさんと私の28日間(7日目)

「ハーブの煮汁が切れました」

産褥ボディマッサージと同様に毎日施されるものの一つに、ハーブシャワーがある。

言葉から想像して、ハーブの粉をシャワーの様に振りかけられる様を連想していた。

実際には私の想像よりも真っ当(というよりも想像が貧弱)だった。

ハーブシャワーとは、ハーブから煮出したエキスを浴びる、という施術のこと。

どんなハーブが使われているのか訊いてはみたものの、名前をきいたところで全く分からない。唯一パンダンリーフが含まれていることだけは香りからも判断出来た。とにかく多種多様なハーブが使われていることは分かる。

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乾燥ハーブを水から煮出す

この煮汁を毎日2回のシャワー後に浴びることが課せられている。アマさん曰くこの香りが苦手という人もいるらしいが、私は違和感なく受け入れられる種類の香りだった。

ハーブというよりも、だし汁にも似たような香りも感じられる。色も鰹だし風で、一瞬自分がだし汁をかぶっているのかと錯覚しそうになる。ハッキリした効能は分からないまま、アマさんが準備してくれるハーブシャワーを浴びること一週間。

 

ところが、今朝アマさんが「必要なハーブが一種類切れてしまった」と言う。

そのハーブを入手するには恐らく、特定の市場へ行かなければ手に入らないらしい。

正直なところハーブシャワーが何に効くのかもよく知らず、重要性も良く分からない。加えてコロナで行動規制が掛けられた状況下では、わざわざ謎のハーブを入手する為だけに外出するのは躊躇われる。

 

ということでアマさん的には不本意ながら、

サウナ・ホットコンプレスに続いてハーブシャワーも本日をもって終了となった。

ハーブを煮出すためには大きな鍋が必要で、我が家で唯一大きなカレー鍋が常にハーブに占拠されている状態だった。ハーブシャワーが終了し、ようやくカレー鍋が解放され、正直ホッとした。

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カレー鍋復活

 

産褥アマさんと私の28日間(6日目)

「それ、もう要らないです…」

初日からマッサージとセットでやっていた「ホットコンプレス」というケア。

アツアツに熱した石をアロマ効果のある葉っぱで包み、さらにそれを布で包んで全身に押し当て血流を良くしていくという施術である。

スパなどで良く見かけるケアの一つで、身体が温まって心地よい。

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温めた石で身体を癒す、ホットコンプレス

当初から私が疑問に思っていたのは「中身をどうやってアツアツにしているのか?」ということだ。開始から数日間は、ホットコンプレスの中身が石だという事にも気づかなかった。というのも、本人はマッサージ中ほとんど意識を失った状態にあるから、その最中にどんなことが行われているのか全く知りようがなかった。

ようやくその中身が石であるという事を知ったのは、アマさんの部屋に大きな河原石のような物がデンッ!と置かれていたためだ。その後脳裏をよぎったのは「あの石を一体どうやって温めているのか?」ということだった。

我が家はもちろん室内の焚火は禁止だし、石を温める特別な機器が持ち込まれた様子もない。加えてキッチンはオール電化なので直火で石を温めることは出来ないのである。

 

そして5日目にしてついに私は知ることとなる、

その岩がどのようにしてアツアツになっているかを…。

お察しの通りと言わざるを得ないのだが、薄々予測していた通りだった。

なぜならマッサージの最中に、アマさんがキッチンで何かやっていることに気づいたからだ。そしてついに現場を目撃してしまった!

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熱せられてアツアツになったコンロ

最大火力で真っ赤になった電気コンロの上に、デーンと置かれた丸々とした石。球体に近い石がコンロに接地している面積は僅かで、電気コンロで過熱するにはどう考えても非効率過ぎる。恐らくこの作業を彼女は毎日1時間以上かけて行っていたことになる。

どうりで最近キッチンの温度が高いと思った…。最大火力で加熱しているので危なくて仕方ない。ホットコンプレスの心地良さは文句なしだが、この危険な行為をそのまま容認することは出来ない。ということで残念ながら、この石焼き行為はこの日以降中止していただくこととなった。

加えて苦行のような毎朝のサウナも、当分は休みにさせて欲しいと訴えた。

産褥ケアのプログラムを勝手な判断で中止としたことで、反感を買ったように思えたが、そこはプロとして依頼人の要望を優先してくれた。

産褥アマさんと私の28日間(5日目)

「バラの香りに包まれて」

今回申し込んだ産褥ケアのパッケージでは、週一度のスクラブマッサージが付いてきた。今日がスクラブマッサージの日。

言われるがままにサウナで蒸された後、パンツ一枚の姿でマッサージマットの上に横たわった。おもむろに出てきたのはオリジナル商品だというスクラブ入りクリーム。

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うっとりバラの香り

Natalisという会社は産褥ケアと共にスパにも力を入れているらしい。

自社の女性ケア用品も開発販売しているので、控えめながら商品PRを入れてくるものの、強引に薦めてくるというわけではないので聞き流す。自社開発のスクラブは優しいバラの香りがするスクラブクリームだった。

スクラブの成分は確認したものの分からず、アマさん曰く塩か何かではないかとのこと。わりと強めの力で全身をゴシゴシされるのだけれど、肌にヒリ付きが残るようなことはなく、スクラブの垢すりの効果も相まって、肌が一皮剥けてリフレッシュしたような爽快感がある。

もともとバラの香り製品は好みではないのだけれど、全身をバラの香りで包まれる感覚は思ったよりも心地よく、うっとりしてしまった。産後のリラックス効果という意味では十分意味のあるものだった。