ボレボレ日記

マレーシアでの日常生活を気ままに綴ってます

産褥アマさんと私の28日間(18日目)

「ランチにマックは黙認されたか?」

夫がランチにマックをオーダーした。🍔🍟

普段ジャンクフードは好んで食べないが、テイクアウトしか許されていないコロナ規制下では、つい選択肢に入れることが多くなりがちだ。産褥期かつ授乳中は、恐らくルール違反であろうファストフードも、我が家の産褥アマさんは放任主義というのを良いことに、特に気にせずオーダーした。

とは言え全く気にしなかったかと言えば嘘になる。

それは授乳中にファストフードを食べていることの罪悪感ではなく、アマさんの作る産褥食を差し置いて、ファストフードをオーダーしているということへの罪悪感だった。産褥アマの大切なミッションの一つに「産褥食作り」がある。本来であれば産褥期間中は、朝昼晩の三食すべてアマさんが調理した物を食べる。しかし私は、その殆どをお断りし自分で料理をしていた。

味付けが好みでなかったから、といったことではない。アマさんの作る料理は多少油っぽくはあったものの、出来る限り好みに合わせようと油控えめで対応してくれたり、味付けを工夫してくれて美味しくいただいた。ではなぜ自分で料理をすることにしたかと言うと「リクエストが面倒になったから」だった。

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アマさんの手料理は基本的に何でも美味しい

産褥食というのは、入院食のように決められた献立で構成されていると思っていたのだが、実際はリクエストに応じてアマさんが調理してくれるというスタイルだった。

インドネシア人のアマさんには、当然いつも自分が食べているような食事をリクエストすることは出来ない。かと言って、どんな料理が作れるのかも分からない。それはアマさんにとっても同じことで、こちらの嗜好が分からない上に材料や調味料も違うので勝手が違いすぎる。

何度かインドネシア料理をリクエストして作って貰った。その中で気に入ったものを再リクエストするという形で、少しずつお互いのバリエーションを増やしていった。

けれども毎日それを繰り返すのは、なかなか骨が折れて面倒くさい。もともと「ランチなんて適当にあるもので適当につくればいい」というタイプなので、毎食「何にしますか?」と訊かれること自体が億劫になってしまった。リクエストを捻りだすぐらいなら、自分で作ってしまった方が気が楽だ。

その上仕事だから当然なのだが、丁寧に作ってくれるので調理に時間が掛かる。

相手はサービスとしてやってくれているので「パパっと適当に作ってくれたらいいよ」ということも出来ない。結果、自分でやった方が早いという結論に落ち着いてしまった。

そういうことで、産後ケアに続いて産褥食についても自分勝手に振舞った挙句、ファストフードを食べ散らかしているという事実が後ろめたかった。

当然ながらアマさんは、私がマックを食べていることに対して何も言わなかった。見て見ぬふりをしながら、彼女の背中から発せられるオーラーにはしっかりと非難の心が渦巻いていたように見えた。

あながちそれは私の被害妄想だけではないように思えた。なぜならその日一日のアマさんの自分に対する対応は、いつになく冷ややかに感じられたからだ。

産褥食に対するリスペクトを示そうと、夕飯を作って欲しいとリクエストしたところ…

出されたのは、信じられないほどの塩味のきついおかずだった。それはジャンクフードに魂を売った私に対する、アマさんからの報復のように思えてならなかった。

産褥アマさんと私の28日間(17日目)

「脅威の4時間超え睡眠力」

我が子は産まれた時のサイズが小さかった影響かミルクを飲む力も弱く、最初は自分の力で母乳を吸う力も殆どなかった。

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一日数10g単位で成長している我が子

当然にミルクを飲む許容量も少なく、30~40ccを2時間置きに飲むというようなサイクルで授乳してきた。一般的に授乳間隔は3時間置きと教わったものの、我が子の場合は2時間以上間隔を空けることが出来なかった。

夜間は比較的授乳の間隔を空けられると分かってきたある日、気付くと4時間以上も連続で眠っている。いつもより睡眠時間が長いというだけで不安になる。

育児の教科書的には、夜間は授乳の間隔が少し長くなっても、4時間であれば許容範囲内ということを確認して自然に目覚めるのを待つことにした。

いつもと少し違うというだけで不安になる。経験があれば何てことないことだと分かるのに。でもそれが初めての子育てというものだと実感。一つ一つ経験して、親も一緒に成長していく。我が子は小さい身体ながら、たっぷりの睡眠と母乳を活力にして逞しく成長していこうとしている、その姿にまたパワーをもらった。

産褥アマさんと私の28日間(16日目)

「育児は十人十色」

本日は産後から2回目の検診日、アマさんに同伴してもらい三人で病院へ赴いた。

極小サイズで産まれた我が子も、最近ではすっかり重みが増し、成長を実感する。

我が家に体重計が無いので体重の増え幅が分からない。なのでこの検診で体重測定をしてもらうのを心待ちにしていた。

小児科には色んな年齢の子どもたちが来ており、新生児と思える月齢の子どもも何人か見かけた。いずれも我が子より遥かにビッグサイズだ。中には「小学生か!?」と見紛うほどに大きなビッグボーイもいた。ロンパースを着て抱っこされているのを見れば、乳児だろうと推測するも、我が子の2倍以上はあったので驚いた。

検診では20日間で900gの体重増加、ドクターも太鼓判を押すほど順調な成長とのことだった。「ママの母乳が良いからだね」という言葉をもらって、ホッとしたのか涙が出そうになった。

最近めっきり涙腺の緩い。

と言うのも、ずっと自分の母乳育児の方法に不安を感じてきた。

低体重で産まれた我が子は母乳を吸う力が弱く、最初はどう頑張っても直接母乳を飲むことが出来なかった。当時は自分の飲ませ方に問題があるのだ疑わず、直接母乳を飲ませることに必死になっていた。時には一時間近くも格闘し、我が子と共にヘトヘトになったこともあった。泣く我が子を見て、自分も泣きたい気分だった。

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入院中は授乳の時間が憂鬱だった…

直接母乳にこだわらず、哺乳瓶でいいと自分自身で納得できたのは、産後2週間ほど経過してからだった。今思うと「母乳育児はこうでなければならない!」といった考えに縛られていたと思う。

だからこの日、ドクターからの言葉は「それでいい」と自分を肯定してくれている言葉として心に染みわたっていった。

子どもにはそれぞれ個性があり、その親にも違いがあり、育てる環境も同じではない。

「これが絶対だ!」という自分が作り出したプレッシャーにぐいぐい押されていた気がする。自分も我が子も、少しばかり平均から外れているかもしれないけれど、こうして順調に成長してきているのだから「間違っちゃいない」と私に自信を与えてくれた。

産褥アマさんと私の28日間(15日目)

「今後のベビーシッターについて考える」

出産後も仕事を続けるというのは、妊娠する以前から決めていたことだった。

結婚・出産したからといって、仕事を辞める選択肢は私には毛頭なかった。

それに賛同しサポートしてくれるパートナーだからこそ実現出来ていることである。

別に仕事大好きなワーカホリックというわけではない。

それでも仕事を続けることを前提としていた理由は、家庭だけに留まり続ける生活が向いていないことと、社会との繋がりを失いたくないという強い思いがあったからだ。

だから産後にアマさんを雇うという選択は当然の流れであった。

今回お願いしている産褥アマさんは、産褥期に特化したケアを行うアマさんで、産後のボディマッサージなどのオプション料金が実際のサービス料金の半分程度を占めている(詳細は不明だが、Nannyの相場料金と比較するして判断する)。産褥期を終えた後は産褥ケアは必要ないので、通常のベビーシッターを雇うことになる。

そこで、私達が次に必要なのはベビーシッター探しだ。

産後に子育てをしながら復職する人たちは、たいてい次のうちのどれかを選択することになる。

①ナーサリー(託児所)に預ける

②ベビーシッターの自宅で預かってもらう

③住込みのベビーシッターを雇って自分の自宅で面倒を見てもらう

④子守を兼務できるメイドを雇う

 

コロナの影響から自宅勤務を続けており、産後も自宅勤務を続ける私にとっては、外に子どもを預けるというのは優先度の低い選択しだ。加えて最寄りの託児所では、コロナの影響で0歳~3歳までの乳幼児のサービスを一時中止していた為、①の「託児所に預ける」という選択肢は選択不可となってしまった。

とは言え②の「ベビーシッターの自宅で預かってもらう」についても状況は託児所とほぼ同じだ。ベビーシッターの自宅に毎朝子ども送り届けなければならないことを考えると、自然と選択肢から消えた。

最有力候補が③の「住込みのベビーシッターを雇う」で、当初から住込みベビーシッターを雇うことを考えてきたのだが、調べれば調べるほどにその手順は複雑で、思った以上にコストも掛かるということも分かってきた。実際にはコロナの影響で、ベビーシッターの雇い入れを仲介するエージェントが休業状態ということも分かった。

そうして候補に挙がってきたのが④の「メイドを雇う」ことだった。

ベビーシッターを見つけるにあたっては、とにかく出来る限りの手を打った。迷惑だとは思いながら、あらゆる人に連絡し、少しでも可能性があれば情報提供してもらいたいと声を掛けた。

ギリギリの状態で産褥アマさんを手配できたのと同様に、今回も周りの人たちに助けてもらい、何とかアマさんの候補を得られるに至った。この時期にベビーシッターを見つけられたことはラッキーの一言に尽きる。

本来は経験豊富な人を探していた為、Facebookを利用して個人的に雇用する方法も検討した。しかし結果として、ベビーシッターの経験は殆どないメイドを雇うことに決めた。決め手になったのは産褥アマさんのアドバイスだった。

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産褥アマさんがベビーシッターについて的確なアドバイスをくれた

ベビーシッターを探すよりもメイドを雇って教育した方が良い」という言葉だった。

メイドであれば費用も安い上に探しやすい。もちろん子守についての専門的なことは期待できない。

しかしながら今回は産褥アマさんが「子守についての基本的なことは、自分がいるうちにメイドに引継ぎする」と教育係を買って出てくれた。

そして丁度タイミングよく、仕事を探しているメイドを紹介されたのである。

 

(このベビーシッターについては、今後お世話になることになると思うので、その日々を後日紹介していきたいと思う)

産褥アマさんと私の28日間(14日目)

マーライオン級の吐き戻しに驚く~の巻き」

昼下がり、いつも通りにアマさんが我が子に授乳をしてくれている。

私は傍らで自分のゆっくりと自分の時間を過ごしていた。

考えたらそれは凄く贅沢なことなのだけれど、アマさんの居る生活に慣れ始めると、それが日常になって有難さの感覚が薄れている自分に気づく。

何故か「ゆっくりと自分の時間を過ごすなんて、贅沢なことだ!」と自分を戒める感情が芽生え、もう一人の自分と葛藤していたりして複雑だ。アマさんを雇ったのは自分達なのだから、それに対して後ろめいと思うこと自体がナンセンスだと思うのに。自分の中のどこかに染み付いた固定概念(世間はこう見ているだろう、という思い込み)が、時々首をもたげて来る時がある。

 

さて、そんなのんびりとした昼下がりに事件は起きた。

いつものようにリズム良くミルクを飲む音が聞こえて来ていた次の瞬間、ボゴボゴボゴーという音とともに、我が子の口から大量の白い液体が噴水のように噴き出してきた。その姿はまさにマーライオンだった。

これまでもは吐き戻しは日常的にあったものの、少し口から垂れる程度でしかなかっただけに、噴水級の吐き戻しに我が目を疑った。

そしてすぐさま我が子に駆け寄るも、私に出来るのは床に飛び散ったミルクを拭いて綺麗にすることぐらい。「大丈夫、よくあることだから」と言って、すべてはアマさんが冷静に対応してくれた。新生児の吐き戻しはよくあること、というのは事前知識として知ってはいたものの、実際に目の前で我が子がマーライオンの如く激しくミルクを吹き上げているのを見ると、そんな知識も一瞬で吹き飛んでしまっていた。

こんな時に「冷静に対処してくれる人が傍にいて良かった」と心から思った。

子育てをする上でこんな事は日常茶飯事だろう。今後も様々な未知の出来事に遭遇し対処していかなければならないのに、吐き戻し程度で動揺しているようでは情けない。

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我が子が勢いよく吐き戻した

 

産褥アマさんと私の28日間(13日目)

日本国籍を申請~の巻き」

事前に得ていたネットの情報では、マレーシアで出産した場合は2週間以内に区役所に出生届を申請することとなっていたが

退院時に病院から渡された書類では「出産から60日以内に申請すること」となっており、WEBサイト上の正式な情報でも60日ということで間違いないらしい。

しかし実際にオンラインで申請予約を行う段階になって知った驚愕の事実。

なんと最短でも予約できる申込日は2ヶ月近く先になるという。

このままでは日本大使館への出生届の申請も遅れてしまい、我が子が日本国籍を取れなくなってしまう可能性があると思い、慌てて大使館に直接問い合わせをした。

すると大使館からは「マレーシア区役所への登録が未完了でも、日本大使館への出生届の申請は可能です」との回答を貰った。

それならばまず先に日本側へ申請しよう、ということで大使館へ赴いた。

(大使館も今はコロナの影響で事前予約が必要)

大使館での書類申請では、あれこれ書き直しが多く想像以上に時間を要し疲弊してしまった。それでも結果として申請は無事完了した。

この時代に今なお、書類での手続きを行っていることや(海外から日本へ書類を郵送するらしい)、公式書類上だけの和暦の使用、戸籍という制度、夫婦同姓などツッコミたいことは山ほどあったが、それは本筋とは逸れるのでここでは割愛しておく。

我が子が新たな家庭を築く頃には、夫婦別姓などの選択肢が与えられる制度に変っていくことを願っている。

産褥アマさんと私の28日間(12日目)

「起死回生」

(前日からのつづき)

苦痛な一夜を過ごした翌日。これ以上症状を悪化させるわけにはいかないので、痛みを堪えて自ら乳房マッサージを行い、積極的に搾乳してみる。それでも思ったような効果は感じられなかった。

運動不足と血行不良の改善の為、散歩を兼ねて徒歩で買い物に出掛ける。

一時間程度の外出から戻り搾乳してみたところ、搾乳量が大幅に改善していた!

その後いつもの産褥ボディマッサージを受け、入念に乳房周りをほぐしてもらったおかげで、胸の違和感はほぼ解消された。

 

振り返ると今回の原因は「冷え」だったと思う。今回はギリギリのところで重症化を防ぐことが出来たものの、ちょっとしたことで「乳腺炎」を起こしてしまう危険性が十分にあることが分かった。

産褥期は身体を動かすことを控えるようにと言われることもあるが、自身の経験からは、適度な運動は身体の回復を早めてくれるように思う。ストレッチや軽いウォーキングはドクターも推奨していたし、血行をよくする為にも不可欠だ。順調に回復しているように見える身体も、ちょっとしたことでバランスを崩してしまうほど、繊細な状態になるのだと改めて気が付いた。